Q) パテントとは何ですか?
パテントと聞くと「特許」を連想しますが、カンボジアでは「事業登録」になります。基本定款で複数の業種を記載するだけではなく、事業種ごとのパテント申請(事業登録)が必要になります。
例えば、レストランと旅行代理店を事業として行いたい場合、法人の基本定款にその旨を記載するだけでなく、レストランとしてのパテント申請、旅行代理店としてのパテント申請と、二つの申請が必要になります。また、業種によっては別途ライセンス申請が必要になり、レストラン業、旅行代理店業共にライセンス申請が必要になります。
なお、レストランを開業する場合、賃貸契約書に「レストランとして利用」という但し書きが必要になるなど、細かい規定がございますので、詳しくはお問い合わせ下さい。
Q) カンボジアの課税様式にはどんなものがありますか?
カンボジア税法においては、下記の3つの課税様式が定められています。
・Real Regime(実態管理様式)→
2016年度以降、法人/個人事業主を問わず全事業主が行う申告納税方式(自ら税額を計算し申告)
・Simplified Regime(簡易管理様式)
※法律上は規定されているが実際には運用されていない
・Estimated Regime(推定管理様式)→2015年度までの個人事業主が対象(税務職員による聞き取り調査等により税額が決定)
2016年度以降鵜、全ての事業主において Real Regime (実態管理様式)が適用されており、毎月の税務申告が必須です。
Q) 税務申告は毎月必要ですか?
法人はReal Regime(実態管理様式)に従い、4種類の税務申告を毎月行う義務を負います。
① VAT (付加価値税)
② Withholding Tax (源泉税)
③ Tax on Salary (給与の源泉税)
④ Profit Tax (ミニマム税/売り上げの1%)
Q) 年次申告では何が必要ですか?
会計年度は1月1日から12月31日までとなっています。
年次の確定申告では財務諸表 (Financial Statements) と会計記録の提出を求められ、リエル表示でクメール語で記載する必要があります。
【年度末決算時に必要な提出書類】
◆会社基本書類(定款、商業省ライセンス、商業省証明書、パテント、VAT証明書、その他事業に関わるライセンスなど)
◆前年度年次申告書の写し
◆当年度税関申告書の写し(輸出入分すべて)
◆当年1月から12月までの毎月の税務申告書写し
◆当該年度の貸借対照表の下記の情報
- 現金出納帳、小口現金出納帳、その他現金の入出金の記録
- 残高証明書および銀行取引記録(預金通帳など)
- 固定資産一覧表 (建物、構築物、土地、機械装置、車両運搬具、器具備品、工具、事務機器など)
- 建設仮勘定、仕掛品、半製品など工程途中の棚卸資産の一覧表
- 借入金返済予定表および金銭消費貸借契約書写し
- 買掛金・未払金一覧表
- 売掛金一覧表 - 棚卸資産一覧表(品目別の数量と評価単価と評価額の記載のあるもの)
- 登録資本金(定款変更があれば)
- 増資金額(ただし、株主からの未登録資本金があればそれもあわせて)
- その他の資料
Q) Withholding TAX とは何ですか?
日本では個人の収入は年末の確定申告をもって納税する形になりますが、カンボジアでは個人が収入をえる場合に、代金を支払う側(納税登録事業者)が税金を天引きして、個人に代わって税務署に納付するシステムがWithholding Tax (源泉徴収税)です。
15% 源泉徴収
個人が受取る経営者・コンサルタント等としてのサービス料収入
無形資産に対するロイヤルテイー、鉱物資源に対する利益の支払い
支払利息(国内の銀行・金融機関以外の、ビジネスを営む納税者による支払利息)
14%源泉徴収
非居住者に対する支払い:利息、ロイヤルテイー、資産の使用に伴う賃料とその他の収入、配当、経営・技術サービス対価
10%源泉徴収
動産・不動産の賃貸収入
6%源泉徴収
定期預金を保有する居住者に対する国内銀行の支払利息
4%源泉徴収
非定期性預金を保有する居住者に対する国内銀行の支払利息
例えば$700の契約でフラットを借りてオフィススペースとして使用する場合、10%の$70を源泉徴収し、税務署に納付します。大家への支払いは$630ですが、この源泉徴収に関してなじみが無いため、トラブルになるケースが多く見られます。不動産契約時にはWithholding Tax についてもきちんと確認し、契約書の中に盛りこむことを推奨致しております。
Q) 資本金以外に、親会社から必要な資金を借り入れています。その時に関連する税は何ですか?
海外から資金を借入をした場合には、貸出者が個人であるか法人であるかに関わらず、利払い時に14%の源泉徴収税を納付する義務があります。一方、カンボジア国内で借り入れをした場合は、銀行からの借入に対して、利子の支払いを行う場合のみ源泉徴収税はかかりませんが、個人または銀行以外の他の法人からの借入をした場合には、15%の源泉税を納付することが必要になります。
Q) 使えない領収書があると聞いたのですが、それは何ですか?
カンボジアのVAT税率は原則10%(輸出は0%)で、月次(翌月20日まで)で申告納税する必要があります。受け取りVATが支払いVATより多い場合はその差額を納税します。逆に、支払いVATが受け取りVATより多い場合は、差額を翌月以降に繰り越すとともに、要件を満たせば還付申請することも可能です。このVATですが、10%課税、0%課税、非課税の取り扱いは取引ごとに異なるので注意が必要です。
また、日本と異なりインボイス方式なので、VATの支払いは法令で定められたVATインボイスに基づき行われなければならなりません。カンボジアではVATの納税義務があるのにもかかわらず、VAT登録を行っていない事業者が多く(VAT非登録事業者と取引すること自体は違法行為ではありません)、非登録事業者からVATを請求される事例もあり、そのような場合はVATを支払っても相殺・還付が認められずコスト負担になってしまいます。
正式なVAT INVOICEには「支払者」「受領者」双方の「社名」「住所」「VAT登録番号」を記載しなければいけません。また、非登録事業者からサービスの提供を受ける場合には、源泉徴収税(15%)の対象となります。しかし、源泉徴収税の理解が乏しく、支払者が別途源泉徴収税を負担して納税するケースも多く見られます。なお、居住者(VAT非登録事業者)への支払い(国内取引)に関する源泉徴収税は、サービス料、ロイヤルティー、支払利息、預金利息、リース料が対象となります。中でも
サービス料への支払いに対しては税率15%が課されますが、VAT登録会社へのサービス料の支払いでVAT INVOICEが発行されている場合は源泉徴収税が免除となります。
Q) 損金算入できないものは何ですか?
前払い法人税、法人税、給与税については会社の費用として認められませんが、登録税、印紙税、輸出入関税などについては費用として認められています。
源泉徴収税に関しては、税金を納付する側の税金としてではなく、あくまで所得が帰属する相手側の税金となります。そのため実際に負担した側の費用としては認められません。また給与税は会社が被雇用者の給与から税金を源泉徴収して納税していますが、これは会社が負担する税金ではなく、被雇用者が負担する税金であるため、経費として精算できません。
税金以外にも以下のものが損金不算入項目となっております。
減価償却費 | 定められた償却方法・償却率によって計算された範囲のみ損金参入可 |
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寄付金 | 一定の寄付金につき、課税所得の5%を限度に損金算入可 |
支払利息 | 一定の所得合計の50% まで損金算入可 |
交際費、接待費 | 全額損金不算入 |
その他損金項目 | 罰金、関係会社間での資産の売買など損金不算入 |